結論を先に

  • 新NISAの枠は、二段の決まりです。 1年に買える額(つみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円)と、ずっと非課税で持てる額(生涯の枠1,800万円、うち成長投資枠は1,200万円まで)です。
  • 枠は、買った値段で数えます。 持っている物が値上がりしても、枠は減りません。売ると、売った物の買った値段の分だけ、翌年から生涯の枠が戻ります。年間投資枠は戻りません。
  • 株の配当を非課税で受け取るには、受け取り方を「株式数比例配分方式」にする必要があります。 銀行口座などで受け取る方式だと、NISA口座の株でも配当に税がかかります。

観察した事実 ── 金融庁・国税庁・証券保管振替機構の案内

金融庁の「NISAを知る」と、国税庁のタックスアンサー No.1535(令和8年4月1日現在法令等)から、要点を並べます。

  • 2024年1月からのNISAは、制度が恒久化され、非課税で持てる期間は無期限になった
  • 年間投資枠は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円。2つは併用でき、合わせて年360万円まで
  • 生涯の枠(非課税保有限度額)は1,800万円。そのうち成長投資枠で使えるのは1,200万円まで
  • 2023年までのNISA(一般NISA・つみたてNISA)で買った物は、1,800万円の外側で、当時の決まりのまま非課税
  • 年間投資枠と生涯の枠は、簿価(買った値段)で数える。売ると、翌年以降、売った物の簿価の分だけ枠が戻り、また使える
  • 口座を開けるのは、その年の1月1日に18歳以上の、日本に住む人。1人1口座で、金融機関は年単位で変えられる
  • NISA口座で売って出た損失は、なかったものとみなされる。特定口座や一般口座のもうけと差し引き(損益通算)はできない
  • 2027年1月からは、つみたて投資枠の年齢の条件がなくなり、0歳〜17歳も口座を開ける。使えるのはつみたて投資枠だけで、年60万円・生涯600万円まで。金融機関は変えられず、17歳までは原則として払い出せない(災害などのやむを得ない場合のほか、12歳以降は、子のための使い道で子が同意しているなどの条件で払い出せる)
年間の投資枠 つみたて投資枠 120万円 / 年 長期の積立・分散に向く一定の投資信託 + 成長投資枠 240万円 / 年 株・ETF・投資信託など(一部を除く) 合わせて 年 360万円まで 生涯の投資枠(ずっと非課税で持てる上限) うち 成長投資枠 最大 1,200万円 つみたて枠で 残りを埋められる 合計 1,800万円
図1 新NISAは『年間の枠』と『生涯の枠』の二段。どちらも買った値段で数える。

金融庁「NISAを知る」・国税庁 No.1535(2026年10月時点)

枠は買った値段で数える ── 3つの例

「買った値段で数える」と「翌年に戻る」は、例で見ると分かりやすくなります。どれも仮の例です。

  • 値上がりした時:1,800万円で買った物が3,000万円に値上がりしても、枠は1,800万円使ったまま。値上がりした1,200万円は枠を使いません。
  • 売った時:買った値段300万円の物を6年目に500万円で売ると、7年目から戻る枠は、買った値段の300万円です(売った値段の500万円ではありません)。
  • 売った年のうち:6年目に売って、同じ6年目にまた買いたくても、枠が戻るのは翌年です。6年目のうちは、生涯の枠に空きがなければ買えません。

売った時の値上がり分(例の200万円)は、NISA口座の中なら税がかかりません。ただ、戻ってくる枠は、買った値段の分だけです。

自分の買い方で数える

毎年の買う額と、売る年・売る額を動かすと、生涯の枠が1年ずつどう埋まり、売った後にいつまた埋まるかが出ます。

1年生涯の枠 1,800万円に対する、持っている物の買った値段の合計25年
生涯の枠が埋まる年
売った後、また埋まる年

図2 金融庁・国税庁の決まり(年間120万円・240万円、生涯1,800万円・うち成長1,200万円、簿価で数えて翌年に戻る)だけで数えています。毎年つみたて投資枠から先に買い、売るのはその年の買い付けの後、と置いています。棒の濃い色はつみたて投資枠、薄い色は成長投資枠で買った物の、買った値段の合計です。18歳以上の口座の決まりで数えています(2027年からの0〜17歳の口座は、つみたて投資枠だけ・年60万円・生涯600万円なので、この計算機の対象外です)。

計算機の最初の形(つみたて120万円・成長120万円)では、8年目に生涯の枠が埋まります。10年目の終わりに成長投資枠の物を300万円ぶん売ると、11年目から300万円の枠が戻り、同じ買い方を続けると12年目にまた埋まります。

いくつかの買い方で、売らない時に埋まる年を並べます。

毎年 買う額埋まる年
つみたて120万・成長240万5年目
つみたて120万・成長120万8年目
つみたて120万だけ15年目
つみたて60万だけ(月5万円)30年目

1行目の買い方で、6年目の終わりに成長投資枠の物を300万円ぶん売ると、7年目にまた埋まります。2行目の買い方なら、10年目の終わりに300万円ぶん売ると、12年目にまた埋まります。

年間投資枠は、売っても増えません。戻った枠を埋めるのにも、1年に最大360万円(つみたて120万円・成長240万円)という上限がかかります。

配当を非課税で受け取るには ── 株式数比例配分方式

株やETF・REITの配当(分配金)の受け取り方は、証券保管振替機構の案内では次の4つから選びます(名前は証券会社によって違うことがあります)。

  • 株式数比例配分方式:すべての銘柄を、証券会社の口座で受け取る(口座の残高に応じて)

  • 登録配当金受領口座方式:すべての銘柄を、指定した1つの銀行口座で受け取る

  • 単純取次ぎ方式:銘柄ごとに、指定した銀行口座で受け取る

  • 配当金領収証方式:郵送される領収証を、ゆうちょ銀行などに持って行って受け取る

  • NISA口座の株の配当を非課税にするには、株式数比例配分方式を選ぶ必要がある(国税庁 No.1535・証券保管振替機構)。発行会社から直接受け取る形の配当は、課税扱いになる

  • 証券会社を複数使っていても、受け取り方は1つ。1社で株式数比例配分方式を申し込むと、ほかの証券会社で持っている銘柄も含めて、すべてその方式になる(ほかの方式との併用はできない)

  • 信託銀行などの「特別口座」に株が残っていると、株式数比例配分方式は使えない。先に特別口座の株を証券会社の口座に移すなどの手続きが要る

  • 何も選んでいない時は、配当金領収証方式になる。申し込みは、証券会社の手続きに日数がかかることがあるので早めに

ここで並べたのは、株・ETF・REITの配当の受け取り方です。NISA口座で買った投資信託の分配金は、金融庁の案内でも運用益(売却益・配当/分配金)として非課税とされています。

一般論として ── 決まりから読めること

ここから先は、データではなく私の整理です。

新NISAの枠の決まりで、間違えやすいのは2つだと考えています。ひとつは「値上がりしたら枠が減る」と思うこと。枠は買った値段で数えるので、値上がりは枠を減らしません。もうひとつは「売ればすぐ枠が戻る」と思うこと。戻るのは翌年で、戻った分を埋めるのにも年間の上限がかかります。

だから、売るかどうかを考える時は、「売った値段」ではなく「買った値段」がいくらだったかを手元で確かめておくと、翌年に使える枠が分かります。

株の配当を受け取る人は、受け取り方を一度確かめておくと安心です。NISA口座で買ったのに、受け取り方のせいで配当に税がかかっていた、ということが起きうるからです。

毎月の積立がいくらになりそうかはNISAのシミュレーションの計算機で、NISAの税金の注意(損失の扱い)はNISAなら税金はかからない、は本当かで、扶養に入っている人のNISAのもうけの扱いは扶養の範囲でNISAを使うと、扶養から外れるのかでまとめています。

このサイトは、特定の金融商品を勧めも否定もしません。

一次情報(公式ソース)

本記事は情報提供であって、特定の金融商品の購入・契約をすすめるものではありません。自分の口座の受け取り方や枠の残りは、取引している証券会社で確かめてください。2026年10月時点の整理です。

—— 渋川 整