新NISA、もう2年が経つ

2024 年 1 月に始まった新 NISA。あれから 2 年と少しが経ちました。

12 年の業界経験で接してきた個人投資家、そして公開情報から見える運用傾向を並べると、新 NISA の使い方には 明確に分かれる 3 つのパターン が出てきました。

今回は、その 3 つを、業界の現場感覚と公開データから整理します。

結論を先に置きます

新 NISA 運用で、現場で見える 3 つの代表的パターン:

  1. 「つみたて」と「成長」を別の口座と見て運用するパターン
  2. 生涯枠の管理を、Excel ではなくクラウドツール(Notion 等)で年次更新するパターン
  3. 配当の入金を、いったん別の証券口座に分けて受け取るパターン

それぞれの理由を順に書きます。

パターン 1:「つみたて」と「成長」を別の口座と見る

新 NISA は同じ「NISA 口座」の中に、つみたて投資枠(年 120 万)と成長投資枠(年 240 万)が同居しています。 一見すると便利ですが、これが 判断を曖昧にする という観察が、現場で繰り返し出てきます。

旧 NISA 時代は、「つみたて NISA」「一般 NISA」が別建てで、選択時に モードが切り替わる 感覚がありました。 新 NISA では、ボタン 1 つで両者を行き来できるため、「気の迷い」が混入 しやすい。

そこで、業界で観察される 対処パターン はこうなります:

・つみたて投資枠(年 120 万)= インデックスファンドの自動積立のみ。手動操作を入れない ・成長投資枠(年 240 万)= 個別株・高配当 ETF など。手動でしか触らない ・両者は 別の証券口座を使っているのと同じ感覚 で扱う

この線引きを持つ人は、判断ブレが減る傾向が見えます。

パターン 2:生涯枠の管理をクラウドツールで

新 NISA の生涯非課税保有限度額は 1,800 万円。うち成長投資枠は最大 1,200 万円まで。

この管理を Excel でやる人は、入出金履歴と紐づかないため、結局見なくなるという声が多くあります。

代わりに、Notion / Google スプレッドシート / 専用アプリで管理する人は、年 1 回更新するだけで済むパターンに落ち着く傾向があります。

管理テンプレ例(一般化)

商品区分金額累計(つみたて)累計(成長)累計(合計)
20241〜12全世界株インデックスつみたて480,000480,0000480,000
20244高配当 ETF成長600,000480,000600,0001,080,000
202411高配当個別株成長200,000480,000800,0001,280,000
20251〜12全世界株インデックスつみたて480,000960,000800,0001,760,000

※ 一般化したテンプレ例。金額・商品は人それぞれ。 ※ 商品名は文章の構造を示すためのもので、特定の銘柄・ファンドの推奨ではありません。

枠の 残量が一目でわかる 構造になっていれば、年末の「あと○万、何に使おう」の判断が滑らかになります。

パターン 3:配当を別口座で受け取る

これが、業界で見える 3 つ目の整理パターンです。

旧来は、NISA 口座の中で配当も非課税で受け取って、そのまま再投資する流派が一般的でした。 新 NISA で、配当受け取り用の特定口座を別に分ける 運用が、業界の議論で増えています。

分けることのメリット(業界で整理されているもの)

理由は 3 つです:

1. 配当の入金を「実感」できる NISA 内で自動再投資されると、配当が入った感覚が薄れます。 別口座に振り込まれると、月数千円でも「入った」という 体感 がある。 これは長期で続けるための メンタル燃料 として大きい、と業界では整理されています。

2. 取り崩しの段で分けやすい 将来、運用フェーズから取り崩しフェーズに移った時、「配当だけで生活費の一部を組み立てる」という選択肢が取りやすい。 最初から 入口を分けておく と、出口の戦略も柔軟になる。

3. 過去事例で見られた失敗を避ける 業界で見てきた中には、「NISA で再投資し続けた結果、いつの間にか配当が出ているが課税口座は空のまま」という構造が複数ありました。 配当を 生活側に流す習慣 がないと、いざという時に動けない。

12 年で変わった、変わらないこと

業界全体として観察される、新 NISA 開始前後の変化を整理します:

変わったこと

  • 口座の細分化(つみたて/成長/配当受取/生活)
  • 管理ツール(Excel → クラウド)
  • 配当の扱い(再投資一択 → 一部別口座へ)

変わらないこと

  • 積立は止めない(暴落時こそ続ける)
  • 借金してまで投資しない(信用取引は使わない)
  • 生活防衛資金は現金で 6 ヶ月分(投資の前提)

リーマンの時に守れなかった「変わらないこと」を、12 年経って業界全体がようやく守れるようになってきた、という構造的な変化があります。


これから新 NISA を始める方への、起点の整理

最後に、これから始める方への、業界で一般化されている 起点の整理 を書いておきます:

年代配分の起点コメント
20代つみたて 100%まずは長期積立の習慣化
30代つみたて 70% / 成長 30%個別株は少額から学ぶ
40代つみたて 50% / 成長 50%配当を意識し始める
50代以降個別判断退職金との連動が重要

これは 起点 であって、各人の状況で大きく変わります。 迷ったら、登録のある証券会社の担当者や、ファイナンシャル・プランナーに相談してみてください。

—— 渋川 整


連載予告

次回は、「初任給を渡された人へ ── 業界で見てきた『最初の一歩』5パターン」 を書きます。 新社会人・若手フリーランス・副業始めたばかりの方向けの整理です。