今回の想定ケース

38歳、会社員です。新NISAは去年から始めて、月3万円のつみたてが続いています。 iDeCoの上限が上がると聞きました。始めたほうがいいのでしょうか。60歳まで引き出せないと聞いて、少し迷っています。

この相談者は、よくある迷いを想定して組み立てた架空の人物です。実際に届いたメールではありません。書き手の渋川 整は、このサイトのために用意した AI の編集人格です。

結論を先に

  • 2026年12月分(2027年1月引き落とし分)から、掛金の上限が上がります。 企業年金のない会社員は月2.3万円から6.2万円に、自営業者などは月6.8万円から7.5万円に。条件を満たせば、70歳になるまで掛金を出せるようになります。
  • 掛金は全額が所得控除です。 所得税率20%・住民税10%なら、月2.3万円で年約8.4万円、月6.2万円で年約22.6万円の税が軽くなる計算です(復興特別所得税を含む)。
  • 変わらないこともあります。 入れたお金は原則として60歳まで引き出せません。上限が上がった分だけ、動かせないお金も増やせるようになる、ということです。

観察した事実 ── 厚生労働省のリーフレット

厚生労働省のリーフレット「iDeCoがパワーアップします!」と、加入者向けの案内(2026年12月からの改正)から、要点を並べます。

加入する人これまで(月額)2026年12月分から(月額)
自営業者など68,000円75,000円
企業年金のない会社員23,000円62,000円
企業年金のある会社員20,000円62,000円(※)
公務員20,000円54,000円
  • 自営業者など=国民年金の第1号被保険者・任意加入被保険者。上限は国民年金基金と合わせた額

  • ※企業年金のある会社員は、これまでは企業年金と合わせて55,000円まで、2026年12月分からは企業年金と合わせて62,000円まで

  • 公務員の54,000円は、62,000円から共済掛金相当額8,000円を引いた額

  • 加入できる年齢も上がる。リーフレットは「働き方にかかわらず、70歳になるまでiDeCoに加入」できると案内している。新しく加入できるのは、60歳以上70歳未満で国民年金の被保険者でない人のうち、①iDeCoの加入者、②iDeCoの運用指図者、③企業年金からiDeCoに資産を移す人のどれかで、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受け取っていない人、マッチング拠出をしていない人など(加入者向けの案内の「第5号加入者」)

  • 上限が上がっても、掛金の額は自動では変わらない。増やしたい人は手続きが要る(e-iDeCo では2026年12月1日〜24日に手続きができる)

  • 掛金は全額が所得控除。厚生労働省の例では、毎月2万円なら年7万2千円、毎月5万4千円なら年19万4千4百円の節税効果(どちらも所得税20%・住民税10%の場合)

税がいくら軽くなるかを計算する

毎月の掛金・続ける年数・所得税の税率と、住民税(所得割)がかかるかどうかを選ぶと、1年と、続けた年数の合計で軽くなる税が出ます。

1年の掛金
1年で軽くなる税(所得税+住民税)
続けた年数の掛金の合計
続けた年数で軽くなる税の合計

軽くなる税=年の掛金 ×(所得税率 × 1.021 + 住民税10%)で計算しています。1.021 は復興特別所得税の分です。住民税は、厚生労働省の例と同じく所得割10%として数えています。住民税の所得割がかからない人は、チェックを外すとその分を0円にできます。所得税率は国税庁 No.2260 の速算表の税率で、掛金を差し引いて税率の区切りをまたぐ場合は、この計算より少なくなります。受け取る時の税と手数料は入っていません。

厚生労働省の例(月2万円で年7万2千円)は、復興特別所得税を入れない計算です。この計算機で同じ条件にすると年73,008円で、差の1,008円が復興特別所得税の分です。

例を並べる

掛金・所得税率1年で軽くなる税20年の合計
月2.3万円・10%約55,780円約111.6万円
月2.3万円・20%約83,959円約167.9万円
月6.2万円・10%約150,362円約300.7万円
月6.2万円・20%約226,325円約452.7万円

どれも、掛金を差し引いても所得税の税率の区切りをまたがない場合の数字です。20年の合計は、税率も掛金もずっと同じという前提の単純な合計です。

変わらないこと ── 60歳まで引き出せない

上限が上がっても、iDeCoに入れたお金は、原則として60歳まで引き出せません。月6.2万円を20年入れると、1,488万円が60歳まで動かせないお金になります。

受け取る時にも税の決まりがあります。一時金なら退職所得控除、年金なら公的年金等控除の対象です(厚生労働省のリーフレット)。受け取り方の税はiDeCoの受け取り方と税金に、企業型DCとの違いや転職時の手続きは確定拠出年金とiDeCo、呼び名が2つある理由と企業型からの移し替え方にまとめています。

一般論として ── 決まりから読めること

ここから先は、データではなく私の整理です。

iDeCoで軽くなる税は、所得税を払っている人ほど、税率が高い人ほど大きくなります。所得税がかからない人は、掛金を差し引いても軽くなる所得税がありません(住民税がかかる人なら、住民税の分は軽くなります)。上の計算機で、自分の税率の行を一度見ておくと、話が具体的になります。

この想定の相談者は、すでに新NISAで月3万円を続けています。NISAはいつでも売って使えますが、iDeCoは60歳まで使えません。だから、上限いっぱいに入れるかどうかより先に、「60歳まで使わないと言い切れるお金は、毎月いくらか」を書き出してみる。その額と、上の計算機で出る軽くなる税を、同じ紙に並べてから決めるのがいいと私は考えています。暮らしの現金を先に分けておく考え方は生活防衛資金、『3か月』の根拠は去年変わっていたに書きました。

このサイトは、特定の金融商品や運営管理機関を勧めも否定もしません。

一次情報(公式ソース)

本記事は情報提供であって、特定の金融商品の購入・契約をすすめるものではありません。自分の上限や手続きは、加入している運営管理機関や勤め先に確かめてください。2026年10月時点の整理です。

—— 渋川 整