結論を先に

  • 経費率の差は小さい。 VYM 0.04%・SCHD 0.06%・HDV 0.08%。100万円を1年持つと(額が変わらないとして)、400円・600円・800円です。
  • 差が大きいのは中身です。 HDVは生活必需品(27.3%)とエネルギー(24.7%)で5割強、情報技術は0.5%。VYMは一番大きい金融でも約2割で、銘柄数は593と3本で最も多くなっています。SCHDは生活必需品20.0%・ヘルスケア19.2%・エネルギー15.4%が上位です。
  • 利回りの数字は、種類と日付をそろえて比べます。 30日SEC利回りでは、HDV 3.51%・SCHD 3.39%・VYM 2.35%(どれも2026年9月30日時点)。ただ、利回りの高さは、何に偏っているかとセットで読む必要があります。

このサイトは、3本のどれかを勧めることはしません。並べるのは、自分の目的に合う中身を選ぶための材料です。

観察した事実 ── 運用会社の公開データ

3本の運用会社のページと資料から、数字を写します。日付は項目ごとに違うので、それぞれ書いています。

横にスクロールすると、3列すべて見られます →

VYM
HDV
SCHD
運用会社
バンガード
ブラックロック
シュワブ
経費率(年)
0.04%
0.08%
0.06%
30日SEC利回り
2.35%
3.51%
3.39%
銘柄数
593
74
100
連動する指数
FTSE High Dividend Yield
Morningstar Dividend Yield Focus
Dow Jones U.S. Dividend 100
一番大きい業種
金融 20.4%
生活必需品 27.3%
生活必需品 20.0%
経費率:VYM 2026年2月27日・HDV 目論見書・SCHD 資料(2026年9月30日時点)。利回りはどれも2026年9月30日時点。銘柄数:VYM 9月30日・HDV 10月22日・SCHD 9月30日。業種の分け方は VYM が ICB、HDV と SCHD が GICS で、そろっていません。
3本の基本の数字。経費率・利回り・銘柄数・連動する指数は、運用会社のページと資料から写しています(日付は本文)。優劣の色は付けていません。
  • VYM(バンガード):FTSE High Dividend Yield Index に連動。銘柄数593(2026年9月30日)。業種は金融20.4%・テクノロジー14.3%・資本財13.6%・ヘルスケア13.4%・エネルギー10.1%(ICBの分け方)
  • HDV(ブラックロック):Morningstar Dividend Yield Focus Index に連動。銘柄数74(2026年10月22日)。業種は生活必需品27.28%・エネルギー24.71%・ヘルスケア13.33%・公益10.99%で、情報技術は0.49%(GICSの分け方・10月22日)。分配は毎月。直近12か月の分配の利回りは3.05%(9月30日)
  • SCHD(シュワブ):Dow Jones U.S. Dividend 100 Index に連動。銘柄数100。業種の上位は生活必需品20.0%・ヘルスケア19.2%・エネルギー15.4%・情報技術12.2%(GICSの分け方・9月30日)。分配は四半期ごと。直近12か月の分配の利回りは3.24%(9月30日)

経費率の差を、お金で数える

経費率は、持っている額に対して毎年かかる割合です(実際には日々の資産から差し引かれます)。100万円が1年間変わらないとして数えると、こうなります。

ETF経費率100万円で1年
VYM0.04%400円
SCHD0.06%600円
HDV0.08%800円

一番安いVYMと一番高いHDVの差は、100万円で年400円です。1,000万円なら年4,000円。小さくはありませんが、次に並べる中身の差に比べると、選ぶ理由としては二番目以降になる、と私は考えています。

中身の差 ── 何に偏っているか

3本とも「高配当」の名前で並びますが、集めている業種はかなり違います。

  • HDVは、生活必需品とエネルギーで5割強です。 情報技術は0.5%しかありません。利回りが高い業種に寄っているぶん、その業種の調子が、配当にも値動きにも出やすい形です。たとえばエネルギーの比率が24.7%あるので、原油の値段の影響を受けやすくなります。
  • VYMは、一番大きい金融でも約2割です。 593銘柄に広げていて、テクノロジーも14.3%入っています。3本の中で、銘柄数が一番多い形です。そのぶん、30日SEC利回りは3本で一番低い2.35%です。
  • SCHDは、上位の3業種で5割強です。 生活必需品・ヘルスケア・エネルギーが上位ですが、情報技術も12.2%入っています。シュワブの資料では、指数は配当の質と持続性に注目し、財務の数字で同業より強い銘柄を選ぶ作り方だと説明されています。

業種の分け方が、VYMはICB、HDVとSCHDはGICSで違うので、同じ名前の業種でも中身は完全には一致しません。並べられるのは、だいたいの傾向までです。

利回りの数字を、どう読むか

利回りには種類があります。ここを混ぜると、比べた結果が狂います。

  • 30日SEC利回り:直近30日の配当などの収入から、1年分に直した利回り。米国の決まりで計算の仕方がそろっているので、ETFどうしを比べやすい数字です。
  • 直近12か月の分配の利回り:過去1年に実際に出た分配金を、今の値段で割った数字。HDVは3.05%、SCHDは3.24%で、30日SEC利回りとは違います。

どちらの利回りにも共通する落とし穴が2つあります。

ひとつ。値段が下がると、利回りは上がります。 配当が増えていなくても、割る側の値段が下がれば数字は大きくなります。利回りが急に高くなった時は、配当が増えたのか、値段が下がったのかを分けて見る必要があります。

ふたつ。今の利回りは、これから配当が増えるか減るかを語りません。 同じ3%でも、翌年に配当が増える銘柄と減る銘柄では、数年後に受け取る額が違ってきます。

だから、3本を利回りの高さだけで並べると、HDVが一番に見えます。でも、その高い利回りが、生活必需品とエネルギーに5割強寄った中身と一緒に出ていることを足して読むと、見え方が変わります(利回りのどれだけが業種の偏りから来ているかまでは、公開データからは分けられません)。

一般論として ── 数字から読めること

ここから先は、データではなく私の整理です。

3本の違いは、経費率よりも、何を集めているかに出ています。選ぶ時は、次のように目的から考えると、数字が読みやすくなると思います。

  • 銘柄数を多く持ちながら、配当も受け取りたいなら、593銘柄のVYMの中身が近い
  • 利回りの高い業種を厚めに持つことを選ぶなら、HDVの中身が近い。ただし、生活必需品とエネルギーへの偏りを、自分が受け入れられるかを先に確かめる
  • 配当の質と持続性、財務の数字で選ぶ指数の作り方に納得できるなら、SCHDの中身が近い

どれを選んでも、「米国の配当株にまとめて投資して、配当を受け取る」という芯は同じです。決め手は利回りの大小より、自分が何年か持ち続けても落ち着いていられる中身かどうか、だと私は考えています。

米国ETFの分配金には、米国と日本の両方で税がかかります。NISA口座でも米国の税は差し引かれ、外国税額控除も使えません。その話は米国ETF配当の外国税額控除、NISA口座は対象外という条件を整理するにまとめています。届いた配当を再投資するか使うかは届いた配当、再投資すべきか使ってよいかで、分配金を出さない指数の中身を並べた回はオルカンとS&P500、何が違うのかです。

このサイトは、特定の金融商品を勧めも否定もしません。

一次情報(公式ソース)

本記事は情報提供であって、特定の金融商品の購入・契約をすすめるものではありません。経費率・利回り・銘柄数・業種の比率は日々変わります。買う前に、運用会社のページで最新の数字を確かめてください。2026年10月時点の整理です。

—— 渋川 整