結論を先に

アベノミクスの期間(第2次安倍内閣から第4次安倍内閣まで)に、株価と円がどれだけ動いたかを、日々の値で数えました。

  • 第2次安倍内閣が発足した 2012年12月26日 から、退陣した 2020年9月16日 まで、日経平均は 10,230円 → 23,476円(+129.5%)、ドル円は 1ドル=85.62円 → 104.94円(円安の方向)でした。
  • いちばん大きく動いたのは2013年です。2012年の最終取引日(12月28日)から2013年の最終取引日(12月30日)までで、日経平均は +56.7%。ドル円は2012年12月31日の1ドル=86.64円から2013年12月31日の105.25円へ、ドルの値段で +21.5% でした。
  • 上げ相場の中にも、大きな下げがありました。2013年5月22日の高値から6月13日までの3週間で −20.4%、2018年10月2日の高値から、コロナショックを含む2020年3月19日までで −31.8% です。

観察した事実 ── 日付と数字の出どころ

  • 内閣の期間:首相官邸の「歴代内閣」によると、第96代(第2次安倍内閣)の在職期間は平成24年(2012年)12月26日から、第98代(第4次安倍内閣)の在職期間は令和2年(2020年)9月16日までです。
  • 金融政策:日本銀行は2013年4月4日に「量的・質的金融緩和」の導入を公表しました。消費者物価の前年比2%の目標を、2年程度の期間を念頭にできるだけ早く実現する、とした政策です。
  • 株価と為替:FRED(米セントルイス連邦準備銀行の公開データ)の日経平均(日々の終値)と、ドル円(1ドルあたりの円・ニューヨーク正午の買い相場。日本の夕方の相場とは時刻が違います)を使いました。休場日は、その前の取引日の値です。

この記事は、この期間に株価と円がどれだけ動いたかを数えるもので、何が動かしたかを切り分けるものではありません。2013年の上げには、同じ時期の海外の株高など、政策以外の要因も重なっています。

穏やかに上昇する水面に複数の小舟が一緒に持ち上げられている、追い風を表すミニマルなイラスト
水面ごと持ち上がるとき、自分の漕ぎ方の上手さは見えにくくなる。

日々の値で並べる

区切り日経平均ドル円
2012-12-26(第2次安倍内閣の発足)10,230円85.62円
2013-04-03(量的・質的金融緩和の公表の前日)12,362円―
2013-05-22(2013年の高値)15,627円103.52円
2013-06-1312,445円94.29円
2015-06-05(期間中のドル円の最も円安の日)―125.58円
2018-10-02(期間中の日経平均の最高値)24,271円―
2020-03-19(期間中の最大の下げの底)16,553円―
2020-09-16(退陣)23,476円104.94円

公表の前日(2013年4月3日)から5月22日までの約7週間で、日経平均は+26.4%上がりました。そしてその高値から3週間で−20.4%下がっています。上げ相場は、まっすぐ上がったわけではありませんでした。

円安の分を、はがして見る

円安は、外国の資産を持っている人の円での評価額を、それだけで押し上げます。

仮に、ドル建てで値段がまったく変わらない資産を、2012年12月26日に持っていたとします。ドル円が85.62円から125.58円になった2015年6月5日には、円での評価額は +46.7% になります。資産そのものは1ドルも増えていません。

そして、ドル円はその後、2016年8月18日に100.07円まで戻りました。円安で膨らんだ分は、円高で同じように縮みます。

上げ相場で起きやすい3つの勘違い

ここから先は、データではなく私の整理です。

  1. 追い風を、自分の実力だと思う:2013年のように指数が1年で+56.7%上がる年は、指数に連動するものを1年持ち続けていただけでも、評価額は大きく増えます。自分の選び方がうまかったのか、相場全体が上げたのかは、指数と比べて初めて分かります。
  2. 円安の評価益を、確定した利益だと思う:上で見たとおり、ドル建てで変わらない資産でも、円では+46.7%に見えた時期がありました。通貨の分は、戻ることがあります。
  3. 追い風は続くと思う:同じ期間の中にも、3週間で−20.4%、コロナショックを含む1年半で−31.8%の下げがありました。

対策も地味です。増えた時に「指数と比べてどうか」「為替を抜くとどうか」を一度だけ数える。それで、追い風と自分の判断を分けて見られるようになると私は考えています。暴落の側の記録はコロナショック 2020年、暴落から回復までを時系列の記録でに並べています。

一次情報(公式ソース)

これは「過去事例」シリーズの一本です。本記事は情報提供であり、特定の金融商品の購入・契約を勧めるものではありません。数字は過去の記録で、将来の結果を示すものではありません。2026年10月時点の整理です。

—— 渋川 整