結論を先に

2008年のリーマンショック、2020年のコロナショック、2022年の下げと円安。3つを、日経平均とナスダック100の日々の終値で数え直しました。

  • リーマンの時:日経平均は2007年7月9日の高値から2009年3月10日までに −61.4%。その高値を終値で上回ったのは2015年2月19日で、高値から 約7年7か月 かかりました。
  • コロナの時:日経平均は2020年1月20日の高値から3月19日までに −31.3%。下げは約2か月で、11月5日には高値を上回りました(高値から 約9か月半)。
  • 2022年:日経平均の下げは −17.1% と浅い一方、ナスダック100は −35.6%。戻るまで約2年かかりました。同じ年、ドル円は1ドル=149円台まで円安が進み、消費者物価は12月に前年同月比 +4.0% になりました。

3つとも、深さも、下げていた期間も、戻るまでの期間も違いました。

観察した事実 ── 数字の出どころ

  • 株価:FRED(米セントルイス連邦準備銀行の公開データ)の日経平均(NIKKEI225)、ナスダック100(NASDAQ100)、S&P500(SP500)の日々の終値です。下落率は、それぞれの期間の中の最も高い終値から、その後の最も低い終値までで数えました。「戻った日」は、その高値を初めて終値で上回った日です。配当は含みません。
  • 為替:FRED のドル円(DEXJPUS。1ドルあたりの円・ニューヨーク正午の買い相場)です。日本の夕方の相場や、取引時間中の一番の円安の値とは違います。
  • 物価:総務省統計局の消費者物価指数(2020年基準・全国・月次)の指数から、前年同月比と年平均の上がり方を数えました。

3つの下げを、日々の値で並べる

ショック指数下落率高値を上回るまで(高値の日から)高値の日 → 安値の日 → 高値を上回った日
リーマン日経平均−61.4%約7年7か月2007-07-09 → 2009-03-10 → 2015-02-19
リーマンナスダック100−53.7%約3年2か月2007-10-31 → 2008-11-20 → 2011-01-03
コロナ日経平均−31.3%約9か月半2020-01-20 → 2020-03-19 → 2020-11-05
コロナナスダック100−28.0%約3か月半2020-02-19 → 2020-03-20 → 2020-06-05
コロナS&P500−33.9%約6か月2020-02-19 → 2020-03-23 → 2020-08-18
2022年日経平均−17.1%約1年6か月2021-11-16 → 2022-03-09 → 2023-05-16
2022年ナスダック100−35.6%約2年1か月2021-11-19 → 2022-12-28 → 2023-12-15
2022年S&P500−25.4%約2年2022-01-03 → 2022-10-12 → 2024-01-19

読み方をいくつか。

  • リーマンは、深く、長い。 日経平均は約1年8か月かけて下げ、高値に戻るまでには、その後さらに約6年かかりました。
  • コロナは、速い。 ナスダック100は1か月で−28.0%下げ、高値の日から約3か月半で、その高値を上回りました。下げていた期間(高値の日→安値の日)も、高値の日から高値を上回るまでの期間も、表にあるどの指数でも、コロナがいちばん短くなっています。
  • 2022年は、指数によって違う。 日経平均の下げは3つの中でいちばん浅い一方、ナスダック100は約1年1か月かけて−35.6%下げ、コロナの時より深くなりました。「2022年は暴落ではなかった」とは言えません。
高さのちがう3つの波の形が横に並び、その手前に人が同じ姿勢で立っているイラスト。3つとも輪郭が異なり、左から右へ大きくなる並びではない
同じ高さに並べても、輪郭は3つとも違う。だから「次はこう来る」とは言えない。

2022年は、為替と物価としても来た

2022年は、株価だけでなく、為替と物価の動きが大きい年でした。

  • ドル円は、2021年12月30日の1ドル=115.17円から、2022年10月20日には149.82円まで円安が進みました(FRED のニューヨーク正午の値)。
  • 消費者物価(総合)は、2022年1月の前年同月比+0.5%から、10月に+3.7%、12月に+4.0%、2023年1月に+4.3%まで上がりました。
  • 2022年の年平均で見ると、総合は前年より+2.5%でしたが、食料は+4.5%、光熱・水道は+14.8%、電気代は+20.0%でした。

円安は、外国の資産を円で数える時の値を押し上げます。ナスダック100は、上の表の高値の日(2021年11月19日)から安値の日(2022年12月28日)までに、ドル建てで−35.6%でした。同じ2日のドル円(113.81円 → 134.27円)をかけて円に直すと、−24.0%です。円で数えると、下げの一部が円安で埋まっていました。

一方、同じ年に光熱費や食料の値段は大きく上がりました。物価の上がり方には、円安のほか、エネルギーや穀物の国際的な値上がりも重なっています。この記事では、そのうちどれだけが円安の分かは切り分けていません。

3つを並べて、整理できること

ここから先は、データではなく私の整理です。

3つの下げは、深さも、速さも、来かたも違いました。リーマンは長く続き、コロナは短く、2022年は株価に加えて物価も大きく動いた年でした。だから「次はどれが来るか」を当てにいくより、どれが来ても暮らしが回る形を、静かな時に決めておくほうが確かだと私は考えています。

  • 暮らしに要るお金を、値動きのある所に置かない。 下げが7年続いても、2か月で終わっても、生活の現金に余白があれば、下げの途中で売らずに済みます。余白の数え方は生活防衛資金、『3か月』の根拠は去年変わっていたに書きました。
  • 積立を続けるかどうかを、下げる前に決めておく。 下げの最中は、決める時間も落ち着きも足りなくなります。リーマンの後に積立がどう戻ったかの計算はリーマン後、積立は何ヶ月で戻ったかに並べています。
  • 家計を、項目ごとの数字で眺めておく。 2022年のように物価で来る時は、どの項目がいくら上がったかを見て初めて、手を打つ場所が分かります。

それぞれの年の記録は、リーマン後、積立は何ヶ月で戻ったか、コロナショック 2020年、暴落から回復までを時系列の記録で、円安150円の2022年と家計にあります。時系列で見たい方はタイムラインもどうぞ。

一次情報(公式ソース)

これは「過去事例」シリーズの一本です。本記事は情報提供であり、特定の金融商品の購入・契約を勧めるものではありません。数字は過去の記録で、将来の結果を示すものではありません。2026年10月時点の整理です。

—— 渋川 整