結論を先に

ポイントで投資信託や株を買うことについて、よく聞く言い方が2つあります。「ポイントだから税金は関係ない」と「自分のお金ではないからノーリスク」。国税庁の案内と、値動きの仕組みを並べると、どちらもそのままでは合っていません。

  • 共通ポイント制度の運営企業から付いたポイントを、証券会社で使って株式等を買った場合、国税庁の一般的な扱いでは、使ったポイント分は一時所得の収入に入ります。ただ一時所得には年最高50万円の特別控除があるので、その年のほかの一時所得と合わせて50万円以下なら、一時所得の金額はゼロになる計算です。
  • 買った株式等の取得価額は、ポイント分を含めた金額で数えます。売った時の利益は、ポイント分も「払った金額」として差し引いて数えます。
  • ポイントで買った投資信託も、値下がりすれば減ります。減るのは、買い物に使えたはずのポイントです。「ノーリスク」ではなく「失っても家計が揺れにくい額で練習できる」が、正確な言い方だと私は考えます。

観察した事実 ── 国税庁の案内に書いてあること

国税庁のタックスアンサー「No.1907 個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取扱い」(令和8年4月1日現在法令等)は、ポイントを2つに分けています。

  • 買い物の代金に応じてその企業から付く、値引きと同じ性質のポイント:通常の商取引の値引きと同じ扱いで、確定申告は要らない
  • 抽選やキャンペーンで臨時に付いたポイントや、共通ポイント制度の運営企業から付いたポイント:値引きとは扱わず、使った分を、使った目的に応じて一時所得などの収入に入れる

そのうえで、株式等を買った場合について、こう書いています。

証券会社等において、共通ポイント制度によりその制度を運営する企業から付与されたポイントを使用して株式等を購入した場合、一般的には、その株式等の取得価額(取得費等)はポイント使用前の支払金額(ポイント使用相当額を含めた支払金額)を基に計算するとともに、ポイント使用相当額は一時所得の総収入金額に算入します。

一時所得の計算は、タックスアンサー「No.1490 一時所得」(令和8年4月1日現在法令等)にあります。

総収入金額 - 収入を得るために支出した金額 - 特別控除額(最高50万円) = 一時所得の金額

そして、この金額の2分の1を、給与などの他の所得と合わせて税額を計算します。

数字を置いてみる ── 2つの仮の例

ここからは、上の扱いに数字を当てはめた仮の例です。どちらも、共通ポイント制度の運営企業から付いたポイントを、証券会社で使って投資信託を買った場合で、NISA ではない特定口座などを想定しています。証券会社自身が付けるポイントなど、別の種類のポイントで買った場合の扱いは、使っているサービスの案内や税務署で確かめてください。

例1:1年で共通ポイント3万円分を使って投資信託を買い、その年にほかの一時所得が無い人

一時所得の総収入は3万円です。「収入を得るために支出した金額」は無いものとして、50万円の特別控除を引くとゼロになるので、ポイント分から課税の対象に加わる一時所得はありません。これは、ほかの一時所得が無いという前提の中の話です。同じ年にほかの一時所得があれば、ポイント分も合わせて数えます(例2)。その年の税額そのものは、給与など他の所得と控除で決まります。

例2:同じ年に、ほかの一時所得もある人

一時所得の計算は、その年の一時所得をまとめて1回行います。同じ年に、懸賞の賞金や生命保険の一時金など、ほかの一時所得がある人は、ポイント分もそれと合わせた総収入金額から、収入を得るために支出した金額(の合計)を引き、さらに特別控除(最高50万円)を引きます。残った金額があれば、その2分の1がほかの所得と合わせて課税の対象になります。ポイント投資だけを見て「税金は関係ない」と決めずに、その年のほかの一時所得と合わせて見るのが、国税庁の計算式に沿った見方です。

売った時はどうなるか

例1の投資信託が、のちに3万3千円で売れたとします。No.1907 のとおり取得価額はポイント分を含めた3万円で数えるので、売った時の利益は3千円です。ポイントで払った部分を「タダで手に入れた分」として、売った時の利益に足すことはありません。

「ポイントだからノーリスク」は本当か

ここから先は、データではなく私の整理です。

ポイントで買った投資信託も、相場が下がれば評価額は下がります。下がった分は戻ってきません。戻らないのは、本来なら日用品の買い物に使えたはずのポイントです。だから「ノーリスク」ではありません。

それでも、ポイント投資には良い面があります。金額が小さく、失っても生活が揺れにくい範囲で、値動きを体感できることです。いきなり大きな現金を入れて慌てるより、小さく一度「動くもの」に触れておく。練習の場としては、よくできた仕組みだと思います。

もう一つ、言葉の違いにも気をつけたい所です。サービスによって、ポイントのまま、投資信託などの値動きに合わせて増減する形と、証券口座でポイントを使って、本物の投資信託や株を買う形があります。上の国税庁の扱いが名指ししているのは、後者の「証券会社等で株式等を購入した場合」です。前者の扱いが自分のサービスでどうなるかは、使っているサービスの案内で確かめてください。

気をつけたいのは、ポイントの周り

ここも私の整理です。ポイント投資で家計がずれる時、気をつけたいのはポイントの増減そのものより、その周りにある次の4つだと考えています。

  • ポイントのために、要らない買い物が増える:付いたポイントより、出ていったお金のほうが多ければ、元も子もありません
  • 本筋の代わりにしない:小さな増減を眺めることは、家計の見直しや毎月の積立の代わりにはならない
  • 還元の条件は、運営の都合で変わる:今の条件がずっと続く前提では考えない
  • 「期間限定」「倍率アップ」に急かされる:急がせて動かす見せ方は、投資詐欺の手口と、急がせる勧誘の見分け方で書いた構造と同じです
糸の先に吊るされた、きらきら光る黄色いルアーのミニマルなイラスト
光って見えるものほど、何に付いているかを先に見る。

どれも、ポイント投資そのものが悪いという話ではありません。順番の話です。生活費の余白を先に置き、ポイントは、その外側で練習に使う。余白の置き方は生活防衛資金、『3か月』の根拠は去年変わっていたにまとめています。

このサイトの立場

このサイトは、特定のポイントサービスや証券会社を勧めも否定もしません。どこが得かを競う場所でもありません。置いてあるのは、国税庁の案内に書いてある扱いと、それを読んだうえでの考え方だけです。

一次情報(公式ソース)

本記事は情報提供であって、特定のサービスや金融商品の利用を勧める・否定するものではありません。個別の申告は、税務署や税理士に確かめてください。2026年10月時点の整理です。

—— 渋川 整