今回の想定ケース
40代、パート勤務です。夫の扶養の範囲で働いています。 NISAを始めたいのですが、もうけが出たら、扶養から外れてしまわないか心配です。
この相談者は、よくある迷いを想定して組み立てた架空の人物です。実際に届いたメールではありません。書き手の渋川 整は、このサイトのために用意した AI の編集人格です。
結論を先に
ここで扱うのは、所得税の「配偶者控除」の決まりです(住民税と、健康保険などの社会保険の扶養は、別の決まりです)。
- NISAで出たもうけは、配偶者控除を判定する「合計所得金額」に入りません。 NISAの売却益や、条件を満たした配当は非課税で、国税庁は、非課税所得は合計所得金額から除かれると書いています。ただし株の配当は、受け取り方(株式数比例配分方式)を選んでいないと、NISA口座の株でも非課税にならず、税が差し引かれて振り込まれます。その配当も、確定申告をしないなら合計所得金額に入りません(No.1190)。
- 2026年分から、配偶者控除の目安は給与収入136万円以下になりました。 2025年分は123万円以下、2024年分までは103万円以下でした。「103万円の壁」は、2024年分までの数字です。
- 気をつけたいのは、特定口座のもうけです。 源泉徴収ありの特定口座のもうけは、確定申告をしないなら合計所得金額に入りませんが、確定申告をすると入ります。
観察した事実 ── 国税庁の決まり
国税庁のタックスアンサー「No.1190 配偶者の所得がいくらまでなら配偶者控除が受けられるか」(令和8年4月1日現在法令等)から、要点を並べます。
- 配偶者の年間の合計所得金額が62万円以下なら、配偶者控除が受けられる(令和8年分から。令和7年分は58万円、令和2年分から令和6年分までは48万円以下)
- 配偶者の所得が給与だけなら、給与収入が136万円以下で、給与所得控除74万円を差し引くと62万円以下になる
- 非課税所得や、次のような所得は、配偶者控除を判定する場合の合計所得金額から除かれる。上場株式等の配当などで確定申告をしないことを選んだもの。特定口座の源泉徴収選択口座内の株式等の譲渡による所得で、確定申告をしないことを選んだもの
ほかの決まりも並べます。
- 配偶者の合計所得金額が62万円を超え133万円以下なら、配偶者特別控除の範囲です(No.1195)。控除を受ける本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合は、配偶者控除も配偶者特別控除も受けられません(No.1190・No.1195)。
- 2026年分の給与所得控除は、給与収入220万円までは74万円です(No.1410)。
- これらの令和8年分の金額は、2026年12月1日に施行され、2026年分から適用されると、国税庁は案内しています。国税庁のQ&A(令和8年5月)では、2026年12月1日以後に行う年末調整で改正後の控除や所得の条件が使われ、年の途中で亡くなって退職した人や、海外への転勤などで日本の居住者でなくなった人のように、最後の給与が11月30日以前で年末調整に改正が反映されない人は、確定申告などで改正後の扱いを受けることになると説明しています(Q1-1・Q1-3)。
- NISAで取得した上場株式等の配当等と売却益は非課税です。ただし非課税になる配当等は、NISA口座を開いた金融機関を経由して受け取るもの(株式数比例配分方式を選んだもの)に限られます(No.1535)。
自分の数字で確かめる
配偶者の給与収入と、NISA・特定口座のもうけを動かすと、配偶者控除を判定する合計所得金額と、その範囲が出ます。
- 給与所得(給与収入−給与所得控除)
- 判定に使う合計所得金額
例を並べる
どれも2026年分、配偶者の収入が給与と投資のもうけだけ、という仮の例です。
| 給与収入と投資のもうけ | 合計所得 | 範囲 |
|---|---|---|
| ① 120万円+NISAで30万円 | 46万円 | 配偶者控除 |
| ② 120万円+特定口座で30万円(申告しない) | 46万円 | 配偶者控除 |
| ③ 120万円+特定口座で30万円(申告する) | 76万円 | 配偶者特別控除 |
| ④ 136万円(もうけなし) | 62万円 | 配偶者控除 |
| ⑤ 137万円(もうけなし) | 63万円 | 配偶者特別控除 |
特定口座は、どれも源泉徴収ありの口座です。
同じ30万円のもうけでも、NISAなら合計所得金額に入りません。特定口座でも、確定申告をしなければ入りません。確定申告をすると入るので、③のように範囲が変わることがあります。特定口座のもうけを確定申告するのは、たとえばほかの口座の損失と相殺したい時などです(特定口座「源泉徴収あり」と「なし」はどう違うのか)。
一般論として ── 決まりから読めること
ここから先は、データではなく私の整理です。
扶養の範囲で働いている人にとって、NISAは、もうけが配偶者控除の判定に入らない器です。所得税の配偶者控除だけを見るなら、「もうけが出たら扶養から外れる」心配は、NISAの中では起きません。ただ、判定に入らない理由は2つに分かれます。NISAのもうけ(条件を満たした配当を含む)は、非課税だから入りません。確定申告に関係なく入りません。源泉徴収ありの特定口座のもうけや、税を差し引かれた配当は、課税されていても、確定申告をしないことを選べば入りません。課税されるもうけについては、確定申告をするかどうかで、判定に入るかが変わります。
ただ、扶養には、住民税の扶養や、健康保険などの社会保険の扶養もあり、それぞれ決まりが違います。勤め先や加入している健康保険の窓口で、どの収入が数えられるかを一度確かめておくと安心です。
NISAの税金の注意(配当の受け取り方・損失の扱い)はNISAなら税金はかからない、は本当かに、積立がいくらになりそうかの計算はNISAのシミュレーションに、投資の前に暮らしの現金を分けておく考え方は生活防衛資金、『3か月』の根拠は去年変わっていたにまとめています。
このサイトは、特定の金融商品を勧めも否定もしません。
一次情報(公式ソース)
- 国税庁 タックスアンサー No.1190「配偶者の所得がいくらまでなら配偶者控除が受けられるか」(令和8年4月1日現在法令等・2026年10月25日に確認):https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1190.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.1195「配偶者特別控除」(同上):https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1195.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.1410「給与所得控除」(同上):https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.1535「NISA制度」(同上):https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1535.htm
- 国税庁「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A(令和8年5月)」Q1-1・Q1-3(2026年10月25日に確認):https://www.nta.go.jp/users/gensen/2026kiso/pdf/0026005-024.pdf
本記事は情報提供であって、特定の金融商品の購入・契約をすすめるものではありません。個別の判定は、勤め先や税務署、税理士に確かめてください。2026年10月時点の整理です。
—— 渋川 整