結論を先に

「ほったらかし投資」は、毎月同じ額を自動で積み立てて、あとは触らずに持ち続けるやり方を指すことが多い言葉です。日経平均でそれをやったら、始めた月によって結果がどれだけ違ったかを計算しました。

  • 始めた月を1950年1月〜1996年11月の563通りにそろえて比べると、10年・15年・20年続けた場合は、どれも約4分の1(23.8〜25.0%)が、最後の評価額が入れたお金を下回りました。
  • 30年続けた場合は13.1%に下がりましたが、ゼロにはなっていません。最も悪かったのは1979年3月に始めた場合で、入れたお金の 0.57倍 です。
  • 1990年1月〜1996年11月に始めた83通りでは、10年で66通り、20年で40通りが下回り、30年ではどれも上回りました。

ほったらかしても、いつも増えたわけではありません。何に積み立てたか、いつ始めたか、何年続けたかで、結果ははっきり分かれました。

観察した事実 ── 計算のしかた

  • データ:FRED(米セントルイス連邦準備銀行の公開データ)の日経平均(NIKKEI225)の日々の終値から、毎月の最後の取引日の終値を取りました(1950年1月〜2026年10月。2026年10月は23日の終値)。
  • 積み立て方:毎月の最後の取引日の終値で、同じ額だけ買う。売らずに持ち続け、最後に買った月の終値で評価する。「10年続けた」は120回買った、という意味です(最初に買ってから評価するまでは119か月)。2026年10月を最後の月とする例は、10月23日の終値で評価しています。
  • 入っていないもの:配当(FRED の日経平均は配当を含まない指数の値です)、商品の手数料や信託報酬、税金。配当を含めれば結果は上に、費用を含めれば下にずれます。

「入れたお金を下回った」は、最後の評価額 ÷ 入れたお金の合計 が1倍より小さかった、という意味です。

年数ごとに並べる

30年続けた結果まで分かるのは1996年11月に始めた分までなので、どの年数も、始めた月を1950年1月〜1996年11月の563通りにそろえて比べます。

続けた年数入れたお金を下回った割合最も悪かった始めた月(倍)最も良かった始めた月(倍)
10年23.8%1993年5月(0.51倍)1951年7月(4.13倍)
15年25.0%1988年5月(0.45倍)1975年1月(4.80倍)
20年24.2%1983年5月(0.48倍)1970年1月(6.70倍)
30年13.1%1979年3月(0.57倍)1960年1月(13.7倍)

読み方をいくつか。

  • 10年から20年に延ばしても、下回った割合はほとんど変わりませんでした。 どれも約4分の1です。30年で13.1%に下がりましたが、なくなってはいません。1972年9月から1984年5月の間に始めた30年の中には、入れたお金を下回ったものがあります。
  • 最も悪い結果は、どれも2003年4月か2009年2月に終わっています。 10年・15年・20年の最も悪い例はどれも2003年4月(日経平均7,831円)に、30年の最も悪い例は2009年2月(7,568円)に終わりました。いつ始めたかと同じくらい、いつ終わったかで結果が決まっています。
  • 同じ始めた月で、年数だけを延ばして見ると。 1990年1月〜1996年11月に始めた83通りでは、10年で66通り、15年で58通り、20年で40通りが下回り、30年ではどれも上回りました。ただ、この30年の終わりは2019年12月〜2026年10月で、日経平均が高い時期に当たっています。年数が長かったからか、終わった時期が良かったからかは、この計算では分けられません。
同じ大きさの箱が2つ並んだイラスト。左の箱は何とも繋がらず地面に置かれ、右の箱はレールに載って歯車と繋がっている
手をかけない量は同じ。違うのは、何に繋がっていて、いつまで繋がっているか。

毎月3万円で置いてみる

計算の結果を、毎月3万円で置き直します。

始めた月続けた年数入れたお金最後の評価額終わった月(日経平均)
1989年12月(日経平均の当時の最高値の月)20年720万円約455万円2009年11月(9,346円)
1989年12月30年1,080万円約1,731万円2019年11月(23,294円)
1983年5月20年720万円約345万円2003年4月(7,831円)
2006年11月20年720万円約2,666万円2026年10月(62,693円)

同じ1989年12月に始めても、20年でやめた場合と30年続けた場合で、結果は逆になりました。どちらも、途中で一度も触っていない計算です。

この計算から言えないこと

  • これは日経平均という1つの指数の記録です。ほかの国の株や、いくつもの国に分けた商品では、結果は違います。
  • 配当を含めていないので、実際に指数に連動する商品を持っていた場合より、結果は低めに出ています。手数料を含めていないので、その分は高めに出ています。
  • 過去に下回った割合は、これから下回る確率ではありません。

一般論として ── 計算から読めること

ここから先は、データではなく私の整理です。

「ほったらかし」でいられるのは手間の話で、結果の約束ではありません。計算で見えたのは、何に積み立てるか、何年続けるか、そしてお金が要る時期がいつ来るかで、同じほったらかしでも結果が分かれるということでした。

だから、ほったらかす前に一度だけ決めておきたいのは、次の2つだと私は考えています。

  • 何に積み立てているかを、自分の言葉で言えるか。 1つの国の指数なのか、いくつもの国に分けたものなのか。上の表は、1つの国の指数の記録です。
  • いつ使うお金か。 最も悪い結果は、相場が低い時期に終わった場合でした。使う時期が決まっているお金ほど、終わる時期を相場に合わせられません。暮らしに要るお金を先に分けておく考え方は生活防衛資金、『3か月』の根拠は去年変わっていたに書きました。

ほったらかしている間も、年に一度、積立が止まっていないか、何にいくら入っているかを見る。それくらいの手間は残しておくのがいいと私は思います。信託報酬の差が長くどう効くかは信託報酬 0.1% の差は 12 年でいくらになるかに、下げの時期の記録はリーマン・コロナ・2022年の下落率と、元に戻るまでの期間に並べています。

このサイトは、特定の金融商品や投資手法を勧めも否定もしません。

一次情報(公式ソース)

本記事は情報提供であって、特定の金融商品や投資手法を勧める・否定するものではありません。数字は過去の指数から計算した値で、実際の商品の成績でも、将来の結果でもありません。2026年10月時点の整理です。

—— 渋川 整